ローマ完全ガイド|永遠の都を1.5日で巡るモデルコースと見どころ

スペイン階段

ローマは歩くだけで2000年の歴史が足元から語りかけてくる街だ。
遺跡、芸術、グルメ、そして人々の情熱――。
その全てが混ざり合い、今も「永遠の都」として生き続けている。

もし滞在できるのが1日半しかなくても、心配はいらない。
ローマは短い時間でも、訪れる人を深く魅了する。
本記事では、1.5日でローマを味わい尽くすためのモデルコースを、
観光・交通・治安・アクセスすべて含めて丁寧に案内する。
地図だけでは見えない、ローマの“息づかい”まで感じてほしい。

目次

はじめに:二千年の時間を歩く街へ

ローマを歩くということは、時間を遡る旅だ。
街のあちこちに古代と現代が混在し、遺跡の隣にバールがあり、千年を超える教会の前をスクーターが駆け抜ける。
「永遠の都」と呼ばれる理由は、過去が過ぎ去らず、今も息づいているからだ。

たとえ1日半という短い滞在でも、ローマはその魅力を惜しみなく見せてくれる。
今回は、そんなローマを“効率よく、そして心で味わう”ためのモデルコースを紹介しよう。

ローマの見どころリスト ― “永遠”を感じるための地図

コロッセオ

コロッセオ(Colosseo)

ローマの象徴。
2,000年前の剣闘士たちの歓声が、いまも風の中に残っているようだ。
朝一番に訪れるのがおすすめ。陽が昇ると観光客で混み合い、遺跡の静寂が失われてしまう。

フォロ・ロマーノ(Foro Romano)

かつて政治と商業の中心だった場所。
崩れかけた柱が整然と並び、古代ローマの息遣いが感じられる。
地図の中に立っているような錯覚を覚えるだろう。

トレビの泉

トレビの泉(Fontana di Trevi)

願いを込めてコインを後ろ向きに投げる――。
あまりに有名なその風景は、夜のライトアップが美しい。
昼よりも夜が、ローマらしいロマンチックな表情を見せてくれる。

パンテオン(Pantheon)

世界で最も保存状態の良い古代神殿。
ドームの中央にぽっかり空いた“天の眼”から光が差し込む瞬間は、まるで神話の一場面のようだ。

ナヴォーナ広場(Piazza Navona)

噴水と芸術の広場。ベルニーニの彫刻が水を弾き、ストリートミュージシャンが愛を歌う。
ここでジェラートを食べながらベンチに座る、それだけでローマが体に染みてくる。

サン・ピエトロ大聖堂(Basilica di San Pietro)

ヴァチカン市国の中心、世界最大の教会。
ミケランジェロ設計のクーポラに上れば、ローマの街全体を一望できる。
神と人間のスケールの差を感じる、まさに“祈りの建築”。

1.5日で巡るローマのモデルコース

🕘 Day1 午前:古代ローマと出会う

朝8時にコロッセオへ。チケットは事前オンライン予約が便利。
フォロ・ロマーノ、パラティーノの丘を歩きながら、ローマ帝国の栄光を肌で感じよう。
昼は近くのトラットリアでカルボナーラを。ローマ発祥の味だ。

🕐 Day1 午後:ロマンチックな街角と芸術

トレビの泉 → パンテオン → ナヴォーナ広場の黄金ルート。
途中でカフェ・グレコ(Via Condotti)に立ち寄り、エスプレッソを一杯。
「ローマの午後」は、少し気取って味わうのが正解だ。

ローマの休日とスペイン階段の今

1953年の映画『ローマの休日』で、オードリー・ヘプバーンがジェラートを頬張る名場面。
誰もが一度は真似したくなるあのシーンですが、現在は文化財保護のためスペイン階段での飲食や座り込みは禁止

🌙 Day1 夜:ヴァチカンの夜景

夕暮れのサンタンジェロ城からサン・ピエトロ大聖堂を望む光景は、息を呑むほど美しい。
夜は地元民が集うトラステヴェレ地区へ。
オステリアのテラス席で、カラフルなライトの下ワインを飲めば、あなたもすっかりローマっ子。

☀ Day2 午前:ヴァチカンの朝

朝のうちにヴァチカン美術館へ。
ミケランジェロの《最後の審判》は、早朝が空いていておすすめ。
その後、サン・ピエトロ大聖堂のクーポラに登り、永遠の都を見下ろして旅を締めくくろう。

ローマでおすすめのレストラン&ピッツェリア

ローマの食の魅力は、庶民的で力強い味わい。
ここでは、地元の人にも愛される名店を4軒厳選しました。
観光ついでにも立ち寄りやすく、ローマの“日常の味”を感じられるお店ばかりです。

Nannarella(ナンナレッラ)

📍 Piazza di S. Calisto, 7/a, Roma
公式サイト
☎️ +39 06 581 5378
トラステヴェレ地区の人気トラットリア。活気あふれる雰囲気と家庭的なローマ料理が魅力。カルボナーラとティラミスは必食。

Antica Hostaria Romanesca(アンティカ・オスタリア・ロマネスカ)

📍 Piazza Campo de’ Fiori, 40, Roma
☎️ +39 06 686 4024
カンポ・デ・フィオーリ広場に面した老舗。地元客も通うクラシックな雰囲気で、アマトリチャーナやカチョ・エ・ペペが絶品。

Cacio e Pepe(カチョ・エ・ペペ)

📍 Via Giuseppe Avezzana, 11, Roma
公式サイト
☎️ +39 06 321 7268
シンプルなローマの名物パスタ「カチョ・エ・ペペ」発祥の名店。ペコリーノの香りがたまらないローマ屈指の人気トラットリア。

Ristorante Pizza Forum Roma(ピッツァ・フォーラム・ローマ)

📍 Via di S. Giovanni in Laterano, 34-38, Roma
公式サイト
☎️ +39 06 9674 0462
コロッセオ近くの薪窯ピッツェリア。焼きたての薄生地ローマ風ピッツァが観光の合間にぴったり。夜はテラス席もおすすめ。

ローマの交通ガイド ― バス・地下鉄・トラムを使いこなす

ローマは広いようで、主要観光地の多くは徒歩と公共交通で十分に回れる

🚇 地下鉄(Metro)

  • 路線:A線(赤)とB線(青)が中心。
  • 観光に便利な駅:コロッセオ、テルミニ、スパーニャ、オッタヴィアーノ。
  • 切符(BIT)は€1.50で100分有効。券売機またはタバッキで購入可能。

🚌 バス(ATAC社)

市内を網羅するが、遅延が多いのが難点。
Googleマップで「ATAC」ルートを調べるのが確実。

🚋 トラム

景観を楽しみながら移動できる。特にTram 8番は、トラステヴェレ方面に便利。

💡 注意点

  • バリデーション(打刻)を忘れると罰金対象。
  • スリが多い(特にテルミニ駅・トレビの泉周辺)。
  • バッグは前掛け、スマホは常にポケットから出さない。

ローマの治安と注意点

ローマは基本的に安全だが、スリと観光客狙いの詐欺が多い。

⚠️ よくあるケース

  • バス停や地下鉄での“カバン開け”スリ
  • トレビの泉での「写真撮ってあげる」詐欺
  • 教会前での物乞い(ジプシー)に見せかけた窃盗

👉 対策

  • バッグは必ずファスナー付きで前に持つ
  • 財布・パスポートは別々に
  • 夜は観光地より住宅街の方が安全

ローマに来たなら絶対に行くべき“マスト”な場所

スポット見どころ
コロッセオ古代ローマ最大の円形闘技場。外観だけでも圧巻。
サン・ピエトロ大聖堂クーポラから眺めるローマ全景は必見。
トレビの泉夜のライトアップと静けさが美しい。
スペイン階段若者たちが憩う街角のシンボル。
ナヴォーナ広場芸術と音楽が交差するローマの心臓。

ローマの食べ物の特徴とは?

ローマの食文化は「豪快さ」と「庶民の味」が魅力。
フィレンツェのように上品でもなく、ナポリのように派手でもない。
“素材を活かし、無駄を出さない”という庶民の知恵から生まれた料理が多いのが特徴です。

カルボナーラ

ローマ料理の代表例

料理名特徴
カルボナーラ(Carbonara)卵とペコリーノチーズ、グアンチャーレ(豚頬肉)を使う。生クリームは使わないのが本場流。
アマトリチャーナ(Amatriciana)トマトソース+グアンチャーレ+ペコリーノ。庶民的でパンチのある味。
カチョ・エ・ペペ(Cacio e Pepe)ペコリーノチーズと黒胡椒だけ。シンプルなのに奥深い。
トリッパ(Trippa alla Romana)牛の胃袋をトマトで煮込んだ郷土料理。日曜の家庭料理として人気。
サルティンボッカ(Saltimbocca alla Romana)仔牛肉に生ハムとセージをのせ、白ワインで蒸し焼きに。上品なメインディッシュ。

日本からローマへのアクセス・空港からCentro(市内)まで

✈️ 日本からローマへ

  • 成田・羽田 → フィウミチーノ空港(FCO)直行便 約12時間
    (アリタリア航空/ITA Airways・ANAなど)

🚆 空港から市内へ

手段所要時間備考
レオナルド・エクスプレス約32分直通。€14。テルミニ駅へ。
地方列車(Regionale)約45〜55分€8。コスパ重視派向け。
タクシー約45分定額€50(市内中心部まで)。
シャトルバス約60分€6〜€8。時間に余裕がある人向け。

ローマから行ける近郊都市リスト(おすすめ)

① ティボリ(Tivoli)

  • 見どころ:ヴィッラ・デステ(噴水庭園)、ハドリアヌスの別荘(世界遺産)
  • アクセス:テルミニ駅からバスまたはローカル列車(約1時間〜1時間15分)
  • おすすめポイント:水の都と呼ばれる静かな避暑地。華やかなローマ中心部とは対照的な“古代の優雅さ”が残る。

② オルヴィエート(Orvieto)

  • 見どころ:丘の上の街並み、ドゥオーモ、ポッツォ・ディ・サン・パトリツィオ(井戸)
  • アクセス:テルミニ駅→オルヴィエート駅(鉄道 約1時間半)+ケーブルカーで旧市街へ
  • おすすめポイント:崖の上に浮かぶ幻想的な街。ローマからの日帰りに最適。

③ アッシジ(Assisi)

  • 見どころ:サン・フランチェスコ聖堂、ロッカ・マッジョーレ
  • アクセス:ローマから列車で約2時間(ペルージャ経由)
  • おすすめポイント:聖フランチェスコゆかりの地。静けさと精神性に包まれた“祈りの街”。

④ ナポリ(Napoli)

  • 見どころ:ナポリ旧市街、サン・カルロ劇場、ポンペイ遺跡(郊外)
  • アクセス:高速列車フレッチャロッサで約1時間10分
  • おすすめポイント:食とエネルギーの街。ピッツァ・ナポレターナ発祥の地でもある。

⑤ フロジノーネ(Frosinone)

  • 見どころ:小さな旧市街と丘の上からの眺望
  • アクセス:ローマ・テルミニ駅から鉄道で約1時間
  • おすすめポイント:観光地化されていない“素顔のラツィオ”を味わえる。

⑥ カステル・ガンドルフォ(Castel Gandolfo)

  • 見どころ:教皇の夏の離宮、アルバーノ湖
  • アクセス:ローマ・テルミニ駅から鉄道で約40分
  • おすすめポイント:ローマ教皇が夏を過ごす美しい避暑地。湖畔のレストランでのランチが絶品。

🚆 アクセスまとめ表

都市名所要時間(片道)主な交通手段特徴
ティボリ約1時間バス/ローカル列車世界遺産の噴水庭園
オルヴィエート約1.5時間鉄道+ケーブルカー崖上の中世都市
アッシジ約2時間鉄道聖フランチェスコの街
ナポリ約1時間10分高速鉄道南イタリアの玄関口
カステル・ガンドルフォ約40分鉄道教皇の夏の別荘地
フロジノーネ約1時間鉄道ローマ郊外の静かな街

ローマを歩くということ ― 永遠を感じる瞬間

ローマは不思議な街だ。
どんなに時間がなくても、なぜか心が満たされる。
路地裏の洗濯物、教会から漏れるオルガンの音、
夕陽に染まる石畳――そのすべてが“ローマ”という物語の断片。

1.5日しかなくても、あなたの中に刻まれるローマは一生消えない。
この街は、急ぐ人を待たない代わりに、立ち止まる人に微笑むのだ。

まとめ:永遠の都は、いつも今を生きている

ローマを語るのは容易ではない。
なぜなら、この街自体が“語る存在”だからだ。
歴史を背負いながら、カプチーノを片手に今日も笑う。
それがローマ人の、そしてローマという都市の美しさ。

旅を終えても、あなたの心のどこかでこの街は生き続ける。
――永遠の都、ローマ。

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この記事を書いた人

イタリア車と暮らし、イタリアで学んだ“美しい生き方”を伝える。イタリア車オーナー歴15年以上。
アルファロメオやフィアットなどのデザインと走りに魅了され、
日常の中で“イタリア流の情熱”を体感してきました。
内装メンテナンスや電装品補修など、DIY整備も自ら行う実践派。
イタリア・フィレンツェに3年間留学。
芸術・デザイン・食文化を学び、現地のライフスタイルを肌で吸収。情報サイト「SOLENTIA」の記事を執筆。
現地での経験と長年のオーナー視点をもとに、
“本場の美学とリアルなイタリアの空気”を伝えている。

SOLENTIAとは

SOLENTIA(ソレンティア)は、
イタリア語の「Sole(太陽)」と、
「Essentia(本質)」を組み合わせた造語です。

“太陽の本質”“光のエッセンス”という意味を込めて、
イタリアの情熱・温かさ・そして生きる歓びを象徴しています。

イタリア車に乗り、イタリア料理を味わい、
ときにはイタリアを旅する——
そんな“日本にいながらイタリアを生きる”ライフスタイルをテーマに、
SOLENTIAは、クルマ・美食・旅を通じて
日常に「イタリアの光」を届けるメディアです。

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