イタリア車は本当に壊れやすい?オーナー歴15年が語る故障の実態と魅力

イタリア車

「イタリア車は壊れる」――。
クルマ好きなら一度は聞いたことがあるフレーズです。

しかし、実際に15年以上イタリア車と暮らしてきた私の実感としては、
“壊れやすい”というより「付き合い方を知らない人が壊してしまう」ケースが多いと感じます。

今回は、アルファロメオやフィアットなどのイタリア車に長年乗ってきた経験から、
故障の実態・維持費・そして“壊れないためのコツ”をわかりやすくお話しします。

イタリア車=壊れる? そのイメージは過去のもの

まず最初に言いたいのは、
「壊れるイタリア車」というイメージは一昔前の話です。

確かに1980〜90年代の時代は、電子制御や素材品質のばらつきが大きく、
新車でもトラブルが起きやすい時期がありました。

しかし2000年以降のアルファロメオやフィアット、アバルトなどは、
部品供給の多くがドイツ製や日本製に切り替わり、品質は格段に向上しています。

特にエンジン制御や電装品(ボッシュ製など)はドイツの技術がベースになっており、
「国産と比べて極端に壊れやすい」とは言えません。

むしろ、
整備を怠らなければ10年以上ノントラブルで走ることも珍しくないのです。

故障と消耗の違いを理解することが大切

よくSNSなどで「また壊れた!」という声を見かけますが、
その多くは「故障」ではなく消耗品の劣化によるトラブルです。

ブレーキパッド、ゴムブッシュ、ホース類、サスペンションマウント、
そしてタイミングベルト――。

これらはどんな車でも年数や距離で確実に交換が必要な部品です。

イタリア車の場合、熱や振動の影響が少し強いため、
国産車より交換サイクルが短いことがあります。

たとえばタイミングベルトは国産が10万km無交換でも走れるのに対し、
イタリア車は6〜7万kmでの交換が推奨です。

この違いを知らずに「まだ大丈夫」と乗り続ければ、
結果として“故障した”という印象になってしまうのです。

電装トラブルの多くは「経年劣化+湿気」

イタリア車でよく話題になるのが「電装系トラブル」。
ウインカーが点かない、メーターが一瞬消える、警告灯がつく…など。

ただし、これも実際には10年以上経った車で起こる自然な経年変化がほとんどです。

イタリアは乾燥した気候ですが、日本は湿気が多く、
コネクターの接点やハーネス部分に湿気が溜まると誤作動が起きやすくなります。

これは国産でも輸入車でも同じ現象です。
少しの接点清掃やグリスアップで治るケースも多く、
「壊れた」と言い切るほどのトラブルではありません。

維持費は国産より高い? 実際のところ

確かに、部品単価は国産よりやや高めです。
しかし、整備計画を立てて定期的にメンテナンスすれば、
年間の維持費は思っているほど高くありません。

以下は、私が所有しているアルファロメオ・ツインスパーク(10年以上所有)の年間おおよその費用です。

項目年間費用(目安)備考
オイル・フィルター交換約15,000円年2回実施
タイヤ・ブレーキ関連約30,000円2年に1度交換
車検・法定点検約100,000円消耗品含む
その他消耗部品(ゴム類など)約20,000円経年交換

合計すると、年間16〜18万円程度
国産車と大きく変わりません。

「ディーラーだけに任せる」と費用が倍になることもありますが、
信頼できる専門ショップを見つければコストは安定します。

予防整備こそ最大の“壊れない秘訣”

イタリア車を長く乗るうえで最も大切なのが、予防整備です。

「壊れてから直す」のではなく、
「壊れる前に手を入れる」。

例えば――

  • オイルはメーカー推奨より早めに交換(5,000kmごと)
  • ゴムホースやベルト類は“劣化の兆候”が出たら早めに交換
  • 車検の時だけでなく、半年ごとに下回りチェック
  • バッテリー・電装系の点検を季節ごとに実施

こうした習慣を持つだけで、トラブルの9割は防げます。

特にイタリア車は「手をかけた分だけ応えてくれる車」。
整備履歴を残しておくと査定にもプラスになります。

故障よりも“放置”がイタリア車の敵

イタリア車が本当に壊れるときは、
実は「乗らない期間が長すぎた」ケースが多いです。

1か月以上エンジンをかけないと、
燃料系・電装系・油圧系に小さな不具合が出やすくなります。

イタリア車は“動かして健康を保つ”タイプの車。
週に一度でもエンジンをかけて走らせることで、
オイルや燃料が循環し、結果的に長持ちします。

故障を恐れず、機械と対話する楽しみを

イタリア車は「壊れる」よりも、“手がかかるけれど可愛い”存在。

たとえるなら、完璧に言うことを聞く家電ではなく、
時々すねるけど感情豊かな相棒のようなものです。

トラブルがあっても、そこから構造を知り、直していく過程に愛着が生まれます。
その積み重ねが、オーナーとしての経験値になります。

「壊れるのが怖い」と言って乗らないのはもったいない。
大切なのは、“クルマの個性を理解して向き合うこと”です。

【まとめ】壊れるかどうかは、オーナー次第

イタリア車は正しく整備すれば壊れません
むしろ、国産車にはない魅力や情熱を持ち、
「乗ること自体が人生を豊かにしてくれる車」です。

  • 電装はドイツ製が多く品質は安定
  • 故障の多くは“消耗”によるもの
  • 予防整備で突然のトラブルは防げる
  • 維持費は想像よりも高くない
  • 放置せず、動かして健康を保つ

壊れるかどうかより、どう付き合うかがすべて。
イタリア車は、機械と心でつながる“情熱のパートナー”なのです。


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この記事を書いた人

イタリア車と暮らし、イタリアで学んだ“美しい生き方”を伝える。イタリア車オーナー歴15年以上。
アルファロメオやフィアットなどのデザインと走りに魅了され、
日常の中で“イタリア流の情熱”を体感してきました。
内装メンテナンスや電装品補修など、DIY整備も自ら行う実践派。
イタリア・フィレンツェに3年間留学。
芸術・デザイン・食文化を学び、現地のライフスタイルを肌で吸収。情報サイト「SOLENTIA」の記事を執筆。
現地での経験と長年のオーナー視点をもとに、
“本場の美学とリアルなイタリアの空気”を伝えている。

SOLENTIAとは

SOLENTIA(ソレンティア)は、
イタリア語の「Sole(太陽)」と、
「Essentia(本質)」を組み合わせた造語です。

“太陽の本質”“光のエッセンス”という意味を込めて、
イタリアの情熱・温かさ・そして生きる歓びを象徴しています。

イタリア車に乗り、イタリア料理を味わい、
ときにはイタリアを旅する——
そんな“日本にいながらイタリアを生きる”ライフスタイルをテーマに、
SOLENTIAは、クルマ・美食・旅を通じて
日常に「イタリアの光」を届けるメディアです。

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