「アルファロメオは壊れる」「買ってはいけない」──
そんな言葉を一度は耳にしたことがあるだろう。
だが、実際にステアリングを握った人の多くは、こう言う。
「壊れるかどうかより、心が動くかどうか」だと。
アルファロメオは数字では語れない車だ。
確かに、気まぐれな一面もある。だがそれ以上に、
“走ることが楽しい”という本能的な喜びを教えてくれる。
故障・トラブルの多さ──古いイメージが独り歩きしている
かつてのアルファロメオは、電装系やセンサーの不具合が多かった。
オーナーの中には「高速道路でエンジンが止まった」「警告灯が頻繁に点く」
といったトラブルを経験した人もいる。
しかし、それは20年以上前の話だ。
現行モデルはフィアット・クライスラー(現ステランティス)傘下で設計が安定し、
部品品質や電装の信頼性は大きく向上している。
実際、最近の故障例の多くは「センサー過敏による誤作動」や「モニターのブラックアウト」など、
走行不能になるような致命的トラブルではない。
電子制御が増えたことで、旧世代より“過剰に反応する車”になったとも言える。
アルファロメオの機関は意外と丈夫。“不調の犯人”は電子系が多い
アルファロメオは「エンジン(機関系)が弱い」と誤解されがちですが、実際はブロックや内部機構の耐久性は高く、不調の原因は電子系センサーに集中するケースが多いです。しかも、その多くはボッシュ(独)やヴァレオ(仏)など欧州大手のサプライヤー製。
「イタリア車=すべてイタリア製」ではなく、ドイツ車・フランス車と同じ供給網の部品が使われています。ゆえに、発生する症状(例:アイドリング不調、チェックランプ、メーター警告)はブランドをまたいで“起こりうる”普遍的な電子系トラブルです。

よくある症状と対処の勘どころ
- 吸気系センサー(MAF)・O2センサー:経年で反応が鈍り燃調がズレる → 早めの交換で復調
- クランク/カム角センサー:熱や振動で信号途切れ → “再現しない”症状でも予防交換が有効
- スロットル/ペダルポジション系:接点汚れでギクシャク → 清掃&学習リセット
- アース不良・カプラー接点:湿気・腐食で誤作動 → 端子清掃&導通確認が効く
結論:機関は丈夫、電子は消耗品。国籍で語らず、記録に基づく予防整備(センサー・配線・アース)と専門店の診断機を活用すれば、安心して楽しめます。
維持費・部品コストの高さ──“輸入車らしさ”を理解すること
確かに、アルファロメオの維持費は国産車より高い。
ブレーキやタイミングベルト、電子パーツなど、部品単価はイタリアからの輸入品だ。
しかし、それは“高価だから悪い”という話ではない。
多くのオーナーが口を揃えて言う。
「定期的に整備していれば、壊れない」と。
アルファロメオは繊細な車ではなく、“メンテナンスを前提に作られた車”だ。
年1回の点検やオイル交換を怠らなければ、トラブルの大半は未然に防げる。
むしろ、日本の高温多湿な気候に合わせて適切に整備すれば、
他の輸入車より長く快調に走ることも珍しくない。
パーツは自分で輸入するという選択肢もある
アルファロメオの維持費を抑えたいなら、自分でパーツを海外から購入するという方法もある。
いまはネットショップやeBayをはじめ、イギリス・ドイツ・イタリアの専門パーツストアから直接注文が可能だ。
特に「105系」など人気のクラシックモデルはリプロダクト(再生産)パーツが豊富で、ブッシュやゴム類、エンブレムなど消耗部品には困らない。
希少部品は高額になることもあるが、汎用パーツなら意外と安価で手に入る。
ただし近年は円安の影響で送料や関税が割高になっており、総額では国内調達と大差ないケースも。
それでも、ディーラーや専門店経由より安く買える場合が多いのは事実だ。
愛車と長く付き合うなら、こうした“海外パーツの自力調達”を覚えるのも楽しみのひとつと言えるだろう。

販売網と整備体制──地方でも「頼れる専門店」がある
「近くにディーラーがないから不安」という声も多い。
確かに、アルファロメオの販売網は都市部に集中している。
だが、ディーラーだけが整備できるわけではない。
全国にはイタリア車専門の整備工場や独立系ガレージがあり、
経験豊富なメカニックが旧車から現行モデルまで対応している。
ただし、その数は減少傾向にあるため、
購入前に「信頼できるショップを確保しておくこと」が重要だ。
地方でも、“イタリア車専門”を掲げる工場なら、
純正パーツの調達やECU診断も問題なく行える。
一度その店と信頼関係を築けば、長く安心して乗れる。
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Macchina(マッキナ)|全国のイタリア車整備・メンテナンスショップ検索
専門店・メカニック選びのコツ|信頼できる整備士と出会うことが一番の安心
アルファロメオを長く楽しむために欠かせないのが、信頼できるメカニックの存在だ。
「買ってはいけない」と言われる背景の多くは、トラブルが起きた際に適切な診断や整備を受けられなかったことにある。
全国的にディーラーは減少傾向だが、今もイタリア車専門の独立系工場やガレージが各地に点在している。
こうした工場では長年アルファロメオを扱ってきた整備士が多く、旧車から現行モデルまで柔軟に対応してくれる。
ECU診断機や純正/OEMパーツの在庫も持ち合わせており、ディーラー並みの設備と経験を備えた店も少なくない。
初めてのショップを選ぶ際は、
- アルファロメオの整備実績や作業事例が公開されているか
- 見積もりが明瞭で、必要以上の交換を勧めてこないか
- 作業説明が丁寧で、質問にしっかり答えてくれるか
を基準にすると良い。
一度信頼できる整備士と出会えば、トラブルが不安ではなく“楽しみの一部”に変わる。
「壊れたら終わり」ではなく、「直してまた走れる」──それがアルファロメオの醍醐味だ。
リセールバリューの低さ──それは裏を返せば「お買い得」
「アルファロメオはリセールが低い」とよく言われる。
これは事実だ。しかし、それは中古市場でお買い得ということでもある。
同クラスのドイツ車に比べ、
走行距離・状態の良いアルファロメオが数十万円安く買える。
特に、ジュリエッタやミトなどは、デザインや走りの質を考えれば驚くほどコスパが高い。
ただし、購入時に整備記録簿や部品交換履歴を必ず確認してほしい。
前オーナーがどのように扱っていたかで、車の状態は大きく変わる。
何も整備されていない個体を「安いから」と選べば、
後々の出費で結局高くつくこともある。
だが、しっかり手入れされた車両なら、
むしろ“壊れないアルファロメオ”を楽しめる。
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イタリア車は本当に壊れやすい?オーナー歴15年が語る故障の実態と魅力
“イタリア車らしさ”──それは欠点ではなく個性
アルファロメオの魅力は、数字では測れない。
完璧な品質より、ステアリングを握った瞬間のフィーリングの豊かさ。
アクセルを踏み込むと、わずかなレスポンスの違いさえもドラマチックに感じる。
「部品が劣化しやすい」「塗装が繊細」──
そんな“クセ”を含めて、アルファロメオの魅力は成り立っている。
まるで人間のように、少し気分屋で、手をかけるほど応えてくれる。
完璧を求める人には向かない。
だが、“車と付き合う”という時間を楽しめる人には、これ以上ない相棒になる。

ドライバー目線で見た“買ってはいけない”という言葉の誤解
「買ってはいけない」という言葉の多くは、
実際に乗っていない人が、ネット上の噂だけで語っている。
確かに、アルファロメオは万人向けの車ではない。
だが、ドライバーとして一度でもそのステアリングを握れば、
“数字では語れない魅力”に気づくはずだ。
整備の行き届いたアルファロメオは、
信じられないほど軽快で、音もステアフィールも官能的。
走行中、街の喧騒を抜けたときの一瞬の静けささえ、特別な時間に感じる。
オーナーの声|“買ってはいけない”は本当か?
ネット上では「アルファロメオは壊れる」「買ってはいけない」と語られることが多いが、
実際に長年所有しているオーナーの声を聞くと、その印象は大きく変わる。
Aさん(アルファロメオ歴15年)はこう語る。
「15年以上乗っているけど、不動になり自走出来なかったことは一度もない。
積車の世話になったこともないし、きちんと予防整備さえしていれば不安はない。」
時間経過を見越して、ゴム類やセンサーなどの消耗品を計画的に交換することで、
大きなトラブルを未然に防げるという。
一方で、Bさん(購入8年目)は購入直後に不調に悩まされた。
「チェックランプも点かず原因が分からなかったけど、
原因の可能性を一つずつ潰していって、最終的には絶好調になった。」
不調の原因は複数の要因が。前オーナーはあまり乗っておらず、それが様々な不具合を引き起こしていたようだ。
どちらのオーナーも共通して言うのは、
“壊れやすい車”ではなく“手をかけるほど応えてくれる車”だということ。
アルファロメオは、理解して付き合えば長く快調に走る。
まとめ|アルファロメオは「買ってはいけない車」ではなく「理解して乗る車」
確かに、手がかかる。
でも、それは“乗り手との関係性が濃い車”ということだ。
ドイツ車のような完璧さを求めず、
イタリア車の“味わい”を楽しむ気持ちで向き合えば、
アルファロメオは裏切らない。
整備を怠らず、信頼できるショップを見つけ、
きちんと向き合えば、トラブルよりも笑顔の方が多い。
だからこそ、最後にこう言いたい。
アルファロメオは「買ってはいけない車」ではない。
“理解して乗る人だけが、本当の楽しさを知る車”なのだ。
