イタリアを旅するなら、少しだけイタリア語を覚えておくと、旅が何倍も楽しくなります。
カフェで「ボンジョルノ(おはよう)」と声をかけるだけで、店員が笑顔で返してくれる。
そんな一瞬が、旅を“思い出”に変えてくれるのです。
この記事では、挨拶・ホテル・交通・レストラン・買い物・道案内など、
旅行中によく使うイタリア語フレーズをシーン別に紹介します。
完璧に話せなくても大丈夫。「伝えようとする気持ち」があれば、イタリア人は必ず応えてくれます。
旅のはじまり|まず覚えたいイタリア語の基本あいさつ
イタリア旅行の第一歩は、「Ciao(チャオ)」という一言から始まります。
イタリア人にとって挨拶は、単なるマナーではなく“人とのつながりの始まり”。
道で目が合ったとき、店に入ったとき、ホテルのスタッフに会ったとき──
どんな場面でも、挨拶を交わすことで距離が一気に縮まります。
朝は「Buongiorno(ボンジョルノ)=おはよう・こんにちは」、
夕方以降は「Buonasera(ボナセーラ)=こんばんは」。
別れ際には「Arrivederci(アリヴェデルチ)=さようなら」や、
親しい人にはカジュアルに「Ciao(チャオ)」を使います。
どの言葉も笑顔で伝えるだけで、相手の反応がまったく変わるはずです。
一日の締めくくりには「Buonanotte(ボナノッテ)=おやすみなさい」。
ホテルやレストランを出るときに「Grazie(グラツィエ)=ありがとう」、
「Buona giornata(ボナ・ジョルナータ)=良い一日を!」を添えれば完璧です。
イタリア人は、言葉よりも“気持ち”を重視します。
発音が少し違っても、笑顔で話しかける姿勢こそが一番のコミュニケーション。
朝のカフェで「ボンジョルノ!」と挨拶すれば、
バリスタがにっこり「チャオ!」と返してくれる──
そんな小さな交流が、旅をより豊かにしてくれます。
💡ワンポイント:
イタリア語の挨拶は場面によって変化しますが、
「ありがとう(Grazie)」と「こんにちは(Buongiorno)」の2つさえ覚えていれば、
ほとんどの場面で通じます。
棒読みでは伝わらない!イタリア語は“抑揚”がカギ
イタリア語は、音のリズムと抑揚がとても大切な言語です。
日本語のように平坦に読むと、相手には通じにくいこともあります。
たとえば「Buongiorno(ボンジョルノ)」は“ボンジョールノ”と少し音を伸ばして明るく言うのがポイント。
声のトーンを上げるだけで、ぐっと自然な響きになります。
イタリア人の会話を聞くと、まるで歌のように上下のリズムがあります。
これは感情を込める文化だから。
だからこそ、旅行者が少し抑揚をつけて話すだけで、「あ、この人ちゃんと話そうとしてる」と感じてもらえるのです。
💡 コツ:
・最後の母音(-o, -a, -e)ははっきり発音する
・「r」は軽く巻くように(無理に強くなくてOK)
・文末を下げるより、少し上げて柔らかく終える
棒読みの「ありがとう」よりも、笑顔で「Grazie!(グラッツィエ!)」とリズムよく言うだけで、印象はまるで違います。
イタリア語は“話す技術”ではなく“感じるリズム”。
耳と口で覚えることが、旅をもっと楽しくしてくれます。
【この記事も合せて読みたい】イタリア語は難しい?でも学ぶ価値あり!ローマ字なのに奥深い魅力と学習のコツ
実際に伝わった瞬間 ―― アルファロメオ博物館での出会い
ミラノ郊外のアレーゼという町にある「アルファロメオ博物館」を訪れたときのこと。
展示を見終えたあと、職員の方に自分の愛車の写真を見せながら、思わず
「Ce l’ho! Macchina Alfa Romeo!(アルファロメオの車、持ってるんです!)」
と話しかけると、相手は笑顔で「Ah, sei un Alfista!(アルフィスタだね!)」と返してくれました。
その瞬間、ただの“観光客”ではなく、“同じ情熱を持つ仲間”として受け入れられたような温かい空気が生まれました。
言葉の正確さよりも、「気持ちを込めて伝えること」が何より大切だと実感した一幕です。
【合せて読みたい】アルファロメオ博物館ガイド|行き方・チケット・見どころ【Alfa Romeo Museum】
空港・機内・ホテルで使うフレーズ
長時間のフライトを終えてイタリアに到着──。
ここからが本当の旅の始まりです。
空港やホテルでは、ちょっとしたイタリア語を使うだけで印象がぐっと良くなります。
英語も通じますが、イタリア語で一言添えるだけで笑顔が返ってくるはずです。

機内・空港で
機内では、客室乗務員に「Scusi(スクーズィ)=すみません/お願いします」と声をかけてみましょう。
丁寧で柔らかい言い回しなので、どんな場面でも使えます。
飲み物をお願いしたいときは、
「Posso avere un caffè?(ポッソ・アヴェーレ・ウン・カッフェ?)=コーヒーをもらえますか?」。un caffè perfavore (ウン カッフェ ペルファヴォーレ)でもOK
機内食で「肉料理にしますか?魚にしますか?」と聞かれたときは、
「Carne, per favore(カルネ・ペル・ファヴォーレ)=肉をお願いします」、
または「Pesce, per favore(ペッシェ・ペル・ファヴォーレ)=魚をお願いします」と答えましょう。
寒いときには、「Posso avere una coperta?(ポッソ・アヴェーレ・ウナ・コペルタ?)=毛布をもらえますか?」。
どれもシンプルで使いやすい表現です。
到着後、空港のラウンジやロビーでよく使うのが、
「Posso usare il Wi-Fi?(ポッソ・ウザーレ・イル・ワイファイ?)=Wi-Fi使えますか?」。
観光地では無料Wi-Fiが多いので、覚えておくと便利です。
💡ワンポイント:
「Scusi」は知らない人やスタッフに対して、
親しい人やカジュアルな場では「Scusa(スクーザ)」と使い分けましょう。
ホテル到着・チェックイン
ホテルに着いたらまず、「Ho una prenotazione(オ・ウナ・プレノタツィオーネ)=予約しています」と伝えましょう。
チェックインの際は「Vorrei fare il check-in(ヴォレイ・ファーレ・イル・チェックイン)」でOK。
シンプルでも丁寧に聞こえる表現です。
もし部屋のトラブルがあっても慌てずに。
「Non esce l’acqua calda(ノン・エッシェ・ラ・クア・カルダ)=お湯が出ません」
「La doccia non funziona(ラ・ドッチャ・ノン・フンツィオーナ)=シャワーが出ません」
と伝えれば、スタッフがすぐ対応してくれます。
イタリアのホテルでは、スタッフとのちょっとした挨拶や一言が心地よい滞在を作ります。
「Buongiorno!」「Grazie!」を添えるだけで、
“旅人”から“ゲスト”として迎えられる気分を味わえるでしょう。

街を歩く・移動する
イタリアを旅していると、街歩きや公共交通を使う機会は多いもの。
ローマやフィレンツェ、ミラノなどの大都市でも、バスや電車を上手に使いこなせば、旅の自由度がぐっと広がります。
ちょっとしたイタリア語を覚えておくだけで、道に迷ったときや切符を買うときもスムーズです。
バス・電車・タクシーで使えるフレーズ
まず覚えておきたいのが、「Dov’è la fermata dell’autobus?(ドヴェ・ラ・フェルマータ・デッラウトブス?)=バス停はどこですか?」。
地元の人に尋ねるときは、「Scusi(すみません)」を添えるだけで印象が柔らかくなります。
切符を買うときは、「Vorrei comprare un biglietto(ヴォレイ・コンプラーレ・ウン・ビリエット)=切符を買いたいです」。
イタリアではバスの切符は“タバッキ(Tabacchi)”と呼ばれる売店で買うのが一般的です。
「Dove si trova un tabacchi?(ドヴェ・シ・トローヴァ・ウン・タバッキ?)=タバッキはどこですか?」
と尋ねれば、きっと親切に教えてくれるでしょう。
💡旅のポイント:
イタリアのバスは乗る前に切符を刻印するルールがあります。
車内にある黄色い機械に差し込むのを忘れると、検札で罰金になることも。
刻印機の前で「Dove timbro il biglietto?(ドヴェ・ティンブロ・イル・ビリエット?)=どこで刻印しますか?」と聞けば安心です。
鉄道・移動中の会話

駅では「Dov’è il binario numero cinque?(ドヴェ・イル・ビナリオ・ヌメロ・チンクエ?)=5番線はどこですか?」のように、
番号を言えると便利。
電車のチケットを買うときは、
「Vorrei un biglietto per Firenze(フィレンツェ行きのチケットをください)」で通じます。
🚆 フィレンツェやシエナなど地方都市では、自動券売機が英語表示にも対応していますが、
少しのイタリア語を添えるだけで、駅員さんの対応がぐっと親切になります。
レストラン・バールで使うフレーズ
旅の楽しみといえば、やっぱり食事。
イタリアでは、レストランやバール(カフェ)での時間が、旅の思い出をいちばん豊かにしてくれます。
少しのイタリア語を添えるだけで、料理の味も不思議と深まるから不思議です。

お店に入るとき
イタリアでは、店に入るときも「Buongiorno(ボンジョルノ)=こんにちは」や
「Buonasera(ボナセーラ)=こんばんは」と声をかけるのがマナー。
席に案内される前に「Avete un tavolo per due?(アヴェーテ・ウン・ターヴォロ・ペル・ドゥエ?)=2人分のテーブルはありますか?」と聞いてみましょう。
混雑時でも丁寧な言葉づかいをすることで、印象がぐっと良くなります。
注文をするとき
メニューを見ながら迷ったときは、指を指して「Prendo questo(プレンド・クエスト)=これをお願いします」と言えば十分伝わります。
無理に完璧な文法を使うより、笑顔とジェスチャーが大事。
「Vorrei una pizza Margherita(ヴォレイ・ウナ・ピッツァ・マルゲリータ)=マルゲリータをお願いします」、
「Vorrei degli spaghetti al pomodoro(ヴォレイ・デッリ・スパゲッティ・アル・ポモドーロ)=トマトスパゲッティをください」など、
“Vorrei(ヴォレイ)=~を欲しいです”を覚えておくと万能です。
💡ワンポイント:
イタリアでは日本のように「すみませーん!」と声を上げて店員を呼ぶのはNG。
軽く手を上げて目を合わせ、「Scusi(スクーズィ)=すみません」と静かに声をかけるのがスマートです。
食後・会計のとき
食後は「Il conto, per favore(イル・コント・ペル・ファヴォーレ)=お会計をお願いします」。
支払い時に「Posso pagare con la carta?(ポッソ・パガーレ・コン・ラ・カルタ?)=カードで払えますか?」もよく使います。
レストランによってはテーブル会計ではなく、レジで支払う場合もあるので、
「Dove si paga?(ドヴェ・スィ・パーガ?)=どこで払いますか?」と尋ねると安心です。
バール(カフェ)で
カウンターでエスプレッソを立ち飲みするのがイタリア流。
「Un caffè, per favore(ウン・カッフェ・ペル・ファヴォーレ)=エスプレッソをください」と言えばOK。
もしトイレを借りたいときは、「Posso usare il bagno?(ポッソ・ウザーレ・イル・バーニョ?)=トイレを使えますか?」。
ただし、注文をしてからお願いするのがマナーです。
🍕ワイン片手に「Grazie(ありがとう)」を添えるだけで、
たとえ短い時間でも、旅人から“お客様”へ、そして“友人”のように迎えられる──
それがイタリアの食文化の温かさです。
ショッピングで使うフレーズ
イタリア旅行では、お土産探しやショッピングも大きな楽しみのひとつ。
フィレンツェの革製品、ミラノのファッション、ローマの雑貨──
お店をのぞくだけでも心が躍ります。
でも、店員とのやり取りにちょっとドキドキすることもありますよね。
そんなときに役立つのが、簡単で丁寧なイタリア語フレーズです。

お店に入るときのマナー
イタリアでは、店に入るときも軽い挨拶を忘れずに。
「Buongiorno(ボンジョルノ)=こんにちは」「Buonasera(ボナセーラ)=こんばんは」を言うだけで印象がとても良くなります。
ただし、日本のように勝手に商品を手に取るのはマナー違反。
手に取りたいときは、
「Scusi, posso vedere questo?(スクーズィ、ポッソ・ヴェデーレ・クエスト?)=すみません、これを見てもいいですか?」
と聞いてからにしましょう。
商品を選ぶとき
気になるものを見つけたら、
「Vorrei questo(ヴォレイ・クエスト)=これが欲しいです」
または「Lo prendo(ロ・プレンド)=これをもらいます」でOK。
試着をしたい場合は、
「Posso provare?(ポッソ・プロヴァーレ?)=試着できますか?」
やや丁寧に言うなら「Scusi, posso provare questo vestito?(スクーズィ ポッソ プロヴァーレ クエスト ヴェスティート?)=この服を試着してもいいですか?」。
店員は「Certo!(もちろん!)」と笑顔で答えてくれるでしょう。
💡ワンポイント:
イタリアでは、服や靴を勝手に触るよりも、
一声かけてからスタッフに出してもらうのが一般的。
「Posso?(ポッソ?)=よろしいですか?」と一言添えるだけで丁寧な印象になります。
会計のとき
購入する際には「Quanto costa?(クアント・コスタ?)=いくらですか?」。
カード払いの場合は「Posso pagare con la carta?(ポッソ・パガーレ・コン・ラ・カルタ?)=カードで払えますか?」を覚えておくと便利です。
現金を使うときは、「In contanti(イン・コンタンティ)=現金で」と伝えればOK。
支払いが終わったら、最後に「Grazie, arrivederci!(グラツィエ、アリヴェデルチ!)=ありがとう、さようなら!」。
この一言で、笑顔が返ってくる確率はほぼ100%です。
👜イタリアのショッピングは、モノを買うだけでなく、
店員との会話ややり取りそのものが“旅の体験”。
少し勇気を出してイタリア語で話しかければ、
きっと心に残る思い出の一品に出会えるはずです。
トラブル・質問で使うフレーズ
どんなに準備していても、旅先ではちょっとしたトラブルがつきもの。
道に迷ったり、Wi-Fiがつながらなかったり、ホテルでお湯が出なかったり…。
そんなときこそ、落ち着いて一言伝えられるイタリア語が役立ちます。
丁寧に話しかける第一声
イタリアでは、知らない人に声をかけるときはまず「Scusi(スクーズィ)=すみません」が基本。
呼びかけのあとに「Signore(シニョーレ/男性へ)」「Signora(シニョーラ/女性へ)」を添えるとより丁寧です。
たとえば、道を尋ねたいときは、
「Scusi, posso chiedere una cosa?(スクーズィ、ポッソ キエーデレ ウナ コーザ?)=すみません、ちょっとお聞きしてもいいですか?」
と前置きしてから質問を始めましょう。
また、質問の冒頭に使える万能フレーズがこちら:
「Vorrei sapere di una cosa.(ヴォレイ・サペーレ・ディ・ウナ・コーザ)=ちょっとお伺いしたいことがあります。」
「Ho una domanda.(オ・ウナ・ドマンタ)=質問があります。」
このどちらも、観光案内所やホテルのフロントなどでとても自然に使えます。
道や場所を聞くとき
イタリアの街は石畳が多く、細い路地や一方通行が入り組んでいます。
Googleマップがあっても迷うことは珍しくありません。
そんなときは、
「Dov’è la stazione?(ドヴェ・ラ・スタツィオーネ?)=駅はどこですか?」
「Dov’è questo posto sulla mappa?(ドヴェ・クエスト・ポスト・スッラ・マッパ?)=地図のこの場所はどこですか?」
地図を見せながら尋ねると、相手も理解しやすくなります。
💡旅のポイント:
狭い道を通るときや、人混みで誰かの横を通りたいときは「Permesso(ペルメッソ)=すみません、通ります」と言いましょう。
押しのけるのではなく、柔らかく声をかけるのがイタリア流のマナーです。
トラブル・困ったとき
ホテルやレストランで問題が起きた場合、慌てずに短く伝えればOK。
「Non funziona il Wi-Fi(ノン・フンツィオーナ・イル・ワイファイ)=Wi-Fiが使えません。」
「Non esce l’acqua calda(ノン・エッシェ・ラ・クア・カルダ)=お湯が出ません。」
「Ho perso la mia borsa(オ・ペルソ・ラ・ミア・ボルサ)=カバンをなくしました。」
と伝えれば、相手は状況を理解して助けてくれます。
また、緊急時には「Aiuto!(アイユート!)=助けて!」を覚えておくと安心。
決して大声で叫ばず、状況に応じて冷静に使いましょう。

まとめ|“伝えようとする気持ち”が旅を豊かにする
イタリア語の旅フレーズは、言葉以上に“心を開く扉”です。
「Buongiorno(こんにちは)」「Grazie(ありがとう)」──その一言で笑顔が返ってくる。
完璧でなくても、伝えようとする気持ちこそがイタリアでは何より大切。
間違いを恐れずに話せば、旅は観光から“交流”へと変わります。
言葉は旅を自由にする魔法。次の旅では、ぜひ一言のイタリア語で心を通わせてみてください。
