フィレンツェ在住者がおすすめするジェラッテリア10選|地元で愛される本場の味を巡る旅

ジェラート

ルネサンスの都・フィレンツェは、美術や建築だけでなく、ジェラート発祥の地としても知られています。
街角のどこを歩いてもジェラッテリア(ジェラート屋)を見かけますが、観光客向けの店と地元で愛される店には大きな違いがあります。
今回は、現地在住のフィレンツェっ子たちに「本当におすすめしたいお店」を聞いてまとめた10店を紹介します。
有名観光地のすぐ近くにある名店から、地元民しか知らない隠れ家まで。
散歩の途中で立ち寄りたくなる“甘い寄り道ガイド”として、ぜひ旅の参考にしてください。

目次

ジェラートの街・フィレンツェへようこそ

イタリアを旅した人なら誰もが一度は感じる、“ジェラートの誘惑”。
石畳の通りを歩いていると、カラフルなジェラートケースが並び、
濃厚なピスタチオや爽やかなレモンの香りが風に乗って漂ってきます。

その中でも、フィレンツェはまさに“ジェラートの聖地”
街の中心部だけでも数十軒のジェラッテリアがひしめき、
通りの角を曲がるたびに新しい名店と出会えるほどです。

この街ではジェラートは「スイーツ」ではなく、日常の楽しみ
朝の通勤前に一杯、午後の散歩途中にもう一杯──
そんなふうに、フィレンツェの人々はまるでエスプレッソのように
ジェラートを“生活の一部”として楽しんでいます。

観光で訪れる人にとっても、ジェラートはフィレンツェを感じる最も身近な方法。
ひと口食べれば、ルネサンスの香りとともに、
この街が育んできた「甘い芸術」に出会えるはずです。

フィレンツェはジェラート発祥の地

実は、ジェラートのルーツは16世紀のフィレンツェにあります。
当時、芸術家であり建築家でもあった ベルナルド・ブオンタレンティ(Bernardo Buontalenti) が、
貴族メディチ家の宴のために冷菓を考案したのが始まりと言われています。

彼の名前を冠した「ブオンタレンティ味(Buontalenti)」は、
今でもフィレンツェの名店「Badiani(バディアーニ)」で味わうことができます。
卵黄・ミルク・蜂蜜をベースにしたクリーミーな味わいは、
シンプルながら“これぞジェラートの原点”と呼ばれるほど。

その後、レシピはイタリア各地へ広まり、現在のジェラート文化が花開きました。
つまりフィレンツェのジェラートは、「発祥の地の味をそのまま受け継ぐ特別な一杯」なのです。

街を歩けば、店の看板やショーケースに「Artigianale(手作り)」の文字が並びます。
そこには、ブオンタレンティの時代から続く「職人が素材にこだわる精神」が息づいているのです。

本物のジェラートを見分ける3つのポイント

観光地では多くのジェラッテリアを見かけますが、
すべてが「本物の味」というわけではありません。
せっかくなら、地元の人が通う“本当に美味しいジェラート”を味わいたいもの。
ここでは、旅行者でも簡単に見分けられる3つのポイントをご紹介します。

① 色が派手すぎないこと

本物のジェラートは、自然素材の淡い色合いが特徴です。
例えばピスタチオはくすんだ緑色、バナナは薄いベージュ。
ショッキングピンクや蛍光グリーンのジェラートは人工着色料の可能性が高いので注意。

② ショーケースの山盛りに惑わされない

見た目を派手に盛り上げた“高い山型”のジェラートは、
実は冷凍保存を長持ちさせるための加工がされていることも。
職人が毎朝仕込むお店では、低めに平らに並んだジェラートが新鮮な証拠です。

③ 「Artigianale(アルティジャナーレ)」の表記をチェック

この言葉は“職人の手作り”を意味します。
原材料から製造までを自家製で行う証でもあり、
フィレンツェでは、真のジェラテリアが誇りをもって掲げる称号です。

この3つを意識すれば、観光客向けの甘ったるいジェラートではなく、
素材そのものの香りが立つ、地元職人の一杯に出会えるでしょう。

フィレンツェでおすすめのジェラッテリア10選

1. Vivoli(ヴィヴォリ)|老舗の誇りと、変わらぬ手作りの味

  • 住所:Via Isola delle Stinche, 7r, 50122 Firenze FI, イタリア
  • 創業:1930年
  • 特徴:卵を使った伝統的レシピ、地元の素材

フィレンツェで最も有名な老舗の一つ。観光客にも知られていますが、今も地元の人が誕生日や特別な日に通う店
生クリームを使わず、素材の味を生かすのがVivoli流。
おすすめは「クリーム(Crema)」と「アッフォガート」。
ナッツや果物の香りがしっかり残るのは、毎朝手作りしている証拠です。
カフェスペースもあるので、朝の散歩途中に立ち寄るのも◎。

2. Gelateria Della Passera(ジェラテリア・デッラ・パッセラ)|小さな広場の名物店

  • 住所:Via Toscanella, 15/red, 50125 Firenze FI, イタリア
  • 特徴:職人の感性が光る小規模工房

オルトラルノ地区の小さな広場に面したお店。観光客は少なく、地元の常連でいつも賑わう
おすすめは「ピスタチオ」と「リモーネ」。
どちらも素材が主役で、軽やかな後味。
店主のパオロさんは「甘さよりも香りを大事にしている」と語ります。
晴れた午後、石畳に腰を下ろして味わえば、まさに“フィレンツェの日常”を感じられるでしょう。

3. Venchi(ヴェンキ)|イタリア全国ブランドの王道

  • 住所:Via dei Calzaiuoli, 65/R, 50122 Firenze FI, イタリア(ドゥオーモ近く)
  • 特徴:高級チョコレートブランドのジェラート部門

Venchiはイタリアを代表するチョコレートブランド。
フィレンツェの中心にも複数店舗があり、観光中でも気軽に立ち寄れる上質な味が魅力です。
濃厚な「CHOCOVIAR 」や「CREMA VENCHI」は定番中の定番。
カップの中で溶け合うカカオとヘーゼルナッツの香りはまさに至福。
見た目の美しさも抜群で、SNS映えを狙うならここ。

4. Mancuso Gelati Italiani 1920(マンチューゾ)|クラシック×モダンの融合

  • 住所:Via de’ Guicciardini, 49r, 50125 Firenze FI, イタリア
  • 創業:1920年
  • 特徴:伝統と革新を両立させた味づくり

古き良きレシピを守りつつ、現代的なセンスも取り入れた新鋭。
素材へのこだわりが強く、ミルクはトスカーナの契約農家から仕入れるなど、“食のトレーサビリティ”を徹底
おすすめは「アーモンドミルク」や「サルティアーティ(塩キャラメル)」。
少し大人の味わいで、夕方のアペリティーボ前にぴったり。

5. Sbrino – Gelatificio Contadino(スブリーノ)|農場直送のフレッシュ素材

  • 住所:Via dei Serragli, 32r, 50124 Firenze FI, イタリア
  • 特徴:農家が手がける「ファーム・ジェラート」

名前の「Contadino(農民)」が示す通り、自家農園の素材を使ったサステナブルなジェラート
牛乳や果物はすべて地元産、季節ごとにメニューが変わります。
おすすめは「ストラッチャテッラ」や「フィオール・ディ・ラッテ」。
素朴ながらも深みのある味で、人工的な香料に慣れた人には驚きの自然さです。
観光エリアから少し離れますが、わざわざ行く価値あり。

6. La Strega Nocciola(ラ・ストレーガ・ノッチョーラ)|魔女の名を持つ人気店

  • 住所:Via Ricasoli, 16R, 50122 Firenze FI, イタリア
  • 特徴:個性豊かなフレーバーと濃厚ナッツ系が人気

名前の「Strega Nocciola=ヘーゼルナッツの魔女」が示すように、ナッツ系が絶品。
「ノッチョーラ」や「ピスタチオ」は香り高く、口当たりはとろけるよう。
また、観光地ながら地元の学生やアーティストも通うのが信頼の証。
テイクアウトして、すぐ近くのドゥオーモ広場で食べるのが定番コース。

7. Perché no!(ペルケ・ノ!)|「どうしてダメなの?」と笑顔になる名店

  • 住所:Via dei Tavolini, 19r, 50122 Firenze FI, イタリア
  • 創業:1939年
  • 特徴:自家焙煎のナッツと自然素材へのこだわり

1939年創業の老舗。
観光客にも人気ですが、地元の常連が毎日でも通う軽やかな味が魅力です。
「ピスタチオ」「ハニー&セサミ」など、独自の風味が多く、素材のバランス感が絶妙。
「Perché no!(どうしてダメなの?)」という店名の通り、つい“もう一杯”頼みたくなります。

8. Gelateria La Carraia(ラ・カライア)|フィレンツェNo.1との呼び声高い人気店

  • 住所:Piazza Nazario Sauro, 25/r, 50124 Firenze FI, イタリア
  • 特徴:観光客にも地元民にも愛されるベストバランス

フィレンツェのジェラート人気ランキングで常に上位。
アルノ川沿いのロケーションも最高で、夕暮れ時の橋の上で食べるジェラートは格別
「チーズケーキ」「ミルク&ミルク」など、甘すぎず濃厚な味が特徴。
観光シーズンは行列必至ですが、並んでも後悔しない一品です。

9. Gelateria De’ Medici(デ・メディチ)|高貴な香り漂う老舗

  • 住所:VPiazza Cesare Beccaria, 7R, 50121 Firenze FI, イタリア
  • 特徴:伝統と格式を守る“王族の味”

地元では「フィレンツェの王道ジェラート」と呼ばれるほどの名店。
観光中心地から少し離れた住宅街にあり、地元の家族連れが多い落ち着いた雰囲気です。
「チョコレート・アランチャ(オレンジチョコ)」や「ズッパイングレーゼ」など、クラシックな味が揃います。
上品で滑らかな舌触りは、さすがメディチ家の名を冠するだけのこと。

10. Badiani Gelato(バディアーニ)|世界が認めた“Buontalenti”の本家

  • 住所:ViVia dei Tosinghi, 12r, 50123 Firenze FI, イタリア
  • 特徴:国際的受賞多数、ジェラート界のスター

フィレンツェ名物「Buontalenti(ブオンタレンティ)」というフレーバーを生み出した名店。
これは、ジェラート発祥のきっかけを作った建築家ブオンタレンティ氏に敬意を表したレシピで、
濃厚なミルクと卵黄、わずかな蜂蜜のバランスが絶妙。
日本にも進出し、世界中にファンを持つフィレンツェの誇りです。

地元の人に人気のフレーバーランキング

フィレンツェのジェラートは、観光客向けの派手な味よりも、素材の香りを生かした上品なフレーバーが主流です。
地元の人にアンケートを取ると、人気の味には共通点がありました。
ここでは、フィレンツェ在住者に愛され続ける“定番フレーバー”をランキング形式でご紹介します。

ジェラート

第1位:ピスタチオ(Pistacchio)

フィレンツェで“本物の味”を求めるなら、まずはこれ。
地元の人は、鮮やかすぎないくすんだグリーンを選びます。
特に「La Strega Nocciola」や「Della Passera」のピスタチオは濃厚ながらも後味が軽く、ナッツの香ばしさが際立ちます。
一口目のインパクトより、食べ終えた後に広がる余韻が魅力です。

第2位:ブオンタレンティ(Buontalenti)

フィレンツェ発祥の味として有名な“Buontalenti”は、
卵黄とミルク、蜂蜜をベースにしたまろやかなフレーバー。
余計な甘さがなく、ミルクの自然なコクが楽しめます。
「Badiani」で食べるのが定番で、観光客もフィレンツェっ子も列をなして並びます。
まさに“原点の味”。

第3位:クレーマ(Crema)

「クレーマ」は日本でいうカスタードに近い、卵とバニラのクラシックな味。
古くからのジェラテリア「Vivoli」ではこのフレーバーを愛する常連が多く、
“何十年も変わらない味”として地元に根付いています。
濃厚なのにしつこくない──まさに日常のジェラート。

第4位:フラゴラ(Fragola/いちご)

春から夏にかけて登場する定番の季節フレーバー。
人工的な赤ではなく、果肉入りの淡いピンク色が特徴です。
「Sbrino」では自家農園のイチゴを使用しており、
自然な酸味と甘さのバランスが絶妙。子どもから大人まで人気があります。

第5位:チョコレート・アズテカ(Cioccolato Azteco)

少しビターでスパイスが香る、大人のチョコレート。
「Venchi」や「De’ Medici」で人気が高く、
カカオの深みを堪能できる一杯です。
冷たいジェラートでありながら、まるでエスプレッソのような余韻を残します。

どの味にも共通するのは、「甘さ控えめで、素材の香りを大切にしている」こと。
フィレンツェの人たちは、ジェラートを“スイーツ”ではなく“職人の芸術”として楽しんでいるのです。

ジェラートを楽しむベストタイムとロケーション

フィレンツェでジェラートを食べる時間は、“いつ”と“どこで”によって印象がまったく変わります。
同じ一杯でも、時間帯や場所を選ぶだけで、街の表情と一体になるような特別な体験ができます。

午前|観光前のリフレッシュに

朝から営業している「Vivoli」や「Perché no!」では、
エスプレッソの代わりにジェラートを楽しむ地元客もいます。
濃いめのクレーマやコーヒーフレーバーを選べば、
朝の陽射しとともに心まで目覚めるよう。
“朝ジェラート”は、観光のエネルギー補給にもぴったりです。

昼下がり|歩き疲れたらオルトラルノでひと休み

ウフィツィ美術館やヴェッキオ橋を巡ったあとの午後は、
アルノ川を渡ってオルトラルノ地区へ。
「Della Passera」や「Sbrino」で買ったジェラートを片手に、
静かな広場のベンチでのんびり過ごす──それが地元の定番スタイル。
観光地の喧騒から少し離れて、フィレンツェの“暮らし”を感じられます。

夕方〜夜|アルノ川沿いで夕陽とともに

日が傾き始めたら、「La Carraia」へ。
アルノ川の橋のたもとにあるこの店では、
ジェラートを手に夕焼けを眺めながら食べる時間が何より贅沢。
オレンジ色の光に包まれた街並みと、
溶けていくジェラートが見事に調和します。
これを体験せずして、フィレンツェのジェラートは語れません。

夜|ライトアップされた街で締めの一杯

夜になると、ジェラッテリアは地元の若者や家族連れで賑わいます。
「Badiani」や「De’ Medici」のような住宅街の老舗では、
ゆったりとした雰囲気の中で、今日の出来事を語り合う人々の姿も。
ライトアップされたドゥオーモやサンタ・クローチェを背景に、
一日の終わりを甘く締めくくる──そんな時間がフィレンツェ流です。


ジェラートは、単なるデザートではなく、この街のリズムそのもの
朝・昼・夜、どの瞬間もそれぞれの美しさがあります。
フィレンツェの旅では、ぜひ“時間ごとのジェラート”を味わってみてください。
きっとその日一日の思い出が、少しだけ甘くなるはずです。

フィレンツェでジェラートを楽しむコツ

1. 色が派手すぎる店は避けよう

自然素材のジェラートは、色が淡く、控えめ。真っ青やショッキングピンクの山盛りは人工着色料のサイン。

2. 観光地の“ど真ん中”より、少し裏通りへ

フィレンツェでは、観光客が少ないエリアほど名店が潜んでいます
サント・スピリトやオルトラルノ周辺が特におすすめ。

3. コーンよりカップで

気温の高い季節は、ジェラートがすぐに溶けます。
香りをしっかり味わいたいならカップが◎。
店員さんに「piccolo(小)」や「medio(中)」と伝えればOK。

まとめ|“一日一ジェラート”が叶う街

フィレンツェでは、朝カフェ代わりにジェラートを食べる人もいれば、
仕事帰りに家族で立ち寄る人もいます。
それほどこの街では、ジェラートが日常に溶け込んでいるのです。

今回紹介した10店はどこもハズレなし。
あなたの“お気に入りの一杯”を見つける旅に出てみてください。
フィレンツェの風と甘い香りが、きっと忘れられない記憶になるはずです。

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この記事を書いた人

イタリア車と暮らし、イタリアの“美しい生き方”を伝える
アルファロメオやフィアットなど、イタリア車に15年以上乗り続け、デザインと走りに魅了されてきました。
内装や電装品のDIY整備も行う実践派で、日常の中で“イタリア流の情熱”を体感しています。

イタリア・フィレンツェで3年間学んだ芸術と食文化の経験をもとに、
情報サイト「SOLENTIA」で“本場の美学とリアルなイタリア”を発信しています。

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SOLENTIAとは

SOLENTIA(ソレンティア)は、イタリア語の「Sole(太陽)」と「Essentia(本質)」を組み合わせた造語。
“太陽の本質”“光のエッセンス”を意味し、イタリアの情熱と温かさ、生きる歓びを象徴しています。

イタリア車に乗り、料理を味わい、旅を楽しむ——
そんな“日本にいながらイタリアを生きる”ライフスタイルをテーマに、
SOLENTIAはクルマ・美食・旅を通して日常に「イタリアの光」を届けるメディアです。

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